ひとりの真白
はぁ、とため息をひとつ吐いて
二酸化炭素と酸素の交換が行われて
そのあと意識しない脈と呼気が続く。
人体はすごい。
ため息ついたらしあわせ逃げるっていうけど
ため息つく時ってそもそもしあわせな気分じゃないって。そんなのわかるでしょうに。
相手にとって価値のない隙間にいい人ぶる自分差し込むのやめなよ。
暗いところに慣れた目を明かりの元に晒すと一瞬何も見えなくなるの、わたしだけなのかな
眩しい中に居続けた時、目ってどうなってしまうんだろう。色んな人に綺麗と言ってもらえる瞳の価値は萎んでどこへ行き着くのかな。
眠れないから、どーでもいいことを意味ありげに考えだすわたしの癖。
実は嫌いじゃない。ご高説を垂れてる時のような高揚感あるし。
とはいえわたしの世界の高説なんて誰かの背後に吐かれた嘘のようなものだけれど。
こういう類の言葉が出てくる時は大抵体がおかしい時だ。異常事態ってこと。
眠ろうとして頑張ったのに、体はまったくもって活動的で疲労を得ようとするたびに目が冴える矛盾が辛い。
暖房の音。
外を走る車の音。
足で弄ってぬるくなった布団の温度。
汗となんとなくだけど、おそらく涙の匂い。
シーツへの罪悪感はギリギリ起きないくらいのアレ。
擦りあわせて、落ち着こうとしてる両足。
目を閉じても、明るい気がする室内でわたしは
頭を真っ白にする為に。
何も悪いことが起きないように願いながら。